![]() |
オレはいつもより重たい足取りで家路を辿っていた。 今日はオレのはたちの誕生日。 …今日から、うちに妻がくるのだ。 「ああ…かったりい………」 思わず溜息まじりの言葉が漏れる。 オレは気ままなひとり暮らしを続けていたいんだ。 見も知らない女と住むなんて苦痛以外の何物でもない。 「あっ…おかえりなさい!」 はにかんだ笑顔でオレを出迎えた『妻』は、 さまざまに想像していた女と違って… 小さな花のような少女だった。 |
![]() |
妻の名は佳子といった。 役所の決定により、遠く離れた街からひとりぼっちで オレのもとへやってきたのだという。 遅くまでバイトに通うオレのため、 佳子は毎晩食事を作って待っていてくれた。 無理しないで先に寝てていいのに、と言うと 「それが主婦のつとめだって家庭科でならいました」 と佳子は笑ってこたえた。 |
![]() |
佳子は無邪気な妹のようにオレを慕ってくれる。 結婚なんて面倒なことばかりだと思いこんでいたが 最近はこんな生活も悪くないと感じるようになってきた。 まだ、彼女を「女」として見るには抵抗が強いけれど。 |
| +TOP+ Next | |